だいちゃん660329 鉄道と旅の記録

日常のちょっとした旅を記録したページです。X - @Daisukeueda6

渓谷が秋に染まった日。もうひとつの大井川 2005年アーカイブス

皆様こんにちは。各地から紅葉の便りが聞こえるようになり、いよいよ秋も深まってまいりました。例年に比べると、秋の歩みは少々遅いようですが。。
今日は、今年の夏に撮影した大井川鉄道に再びやってきました。と言っても、今日の目的地は井川線です。大井川鉄道井川線は、千頭から井川までを結んでいる渓谷の中を走る路線です。なんと言ってもその特徴は、日本で唯一のアプト式鉄道であるという事でしょう。アプト式とは、鉄道車両が急な坂道を行き来する際の方式のひとつで、レールとレールの間にラックレールと言われる歯形のレールを取り付け、列車の歯車と噛み合わせる事で推進力を得る方式です。井川線の機関車はその歯車をつたって坂を上ります。昔は碓井峠を越える路線にもこのアプト式が使用されていました。他の路線で一般的に使われているスイッチバックに比べ、坂を上る距離は短くできますが、専用の機関車が必要になるため、現在はここ井川線に残るのみです。

井川線は本数が少ないため、今日はレンタカーにて移動する事にしました。早速掛川駅に到着です。掛川駅は新幹線も停車する駅ですが、このレトロな駅舎からはそれを感じさせませんね。

レンタカーに乗り、山道を登っていく事2時間弱で、井川線のアプトいちしろ~長島ダム間に到着です。まずはこの絶景をご覧下さい。

この線路の傾斜角をご覧下さい。ここを列車が上って行くのです。

年期を感じさせるポータルがあります。山全体が赤く染まるにはまだ早いですが、見事な紅葉です。列車が来るまでの間、我を忘れて撮影に没頭しました。

やがて遠くから踏切の音。列車がやってきました。

一番後ろで後押しをしているのが、アプト式電気機関車です。大井川鉄道井川線は非電化路線ですが、この区間だけが電化されています。ゆっくり、ゆっくり、列車は坂を上っていきます。

ようやく坂を上り切りました。この迫力と美しさに圧倒されました。

長島ダムの湖面を入れて、撮影してみました。このスケールの大きさをご覧下さい。なんと気持ちいい光景でしょうか。

長島ダム駅では、上下列車の交換が行われます。アプト式電気機関車もここで下り列車に付け替えられ、今度は列車を引っ張って坂を下っていきます。

長島ダム駅にやってきました。何も無い、寂しい無人駅です。

ここから井川線の終点、井川ダムを目指して車を走らせました。車窓には紅葉のトンネルです。目を見張るような絶景が次々と現れます。しかし!しかしです。接岨峡温泉駅を過ぎると、道がすれ違いができないほど極端に狭くなり、しかも片方は切り立った崖、もう一方は目も眩む断崖絶壁です。なのに紅葉シーズンだからでしょうか。結構行き交う車が多く、写真撮影どころではありません。30分以上細い道で悪戦苦闘の上、井川ダムは諦める事にしました。とても運転に集中力が保てません。井川ダムは列車で行くべきですね。と、いうことでせっかくの絶景が一枚も写真に収める事はできませんでした(泣)。ま、車を傷つけずに脱出できたのでよしとしましょう。唯一撮影した接岨峡の紅葉をご覧下さい。

気を取り直して、奥大井湖上駅付近にやってきました。思わず身が引き締まりました!これは夢か、私は夢を見ているのかと目を疑うような絶景です。しばし、撮影を忘れてぼうぜんと景色に見入ってしまいました。こんな風景が日本にあったなんて。。。

駅が見えます。この駅で乗り降りする人はいるのでしょうか?

この見事な紅葉をご覧下さい。写真がすべてを語ってくれる事でしょう。

渓谷の絶景の中、列車はやってきました。まだ夢見心地でシャッターを切っています。なんという絶景でしょうか。。このスケールの大きさ。様々な色がおりなす風景をとても言葉では表現できません。言葉にすると、感動が薄まってしまうような気がしました。自分の目の奥にこの光景を焼き付ける事ができた幸運に感謝したいと思います。皆様にもこの感動が伝わるでしょうか?

2005年、今年も紅葉を収める事ができました。地球温暖化の影響なのか、だんだんと紅葉の美しさが毎年薄れていっているようです。私たちが何気なく見ている紅葉は、実は絶妙なバランスの上に成り立っている、ある意味奇跡とも言える自然の芸術なのですね。来年も、再来年もこの奇跡をずっと見ていきたいと願いつつ、私は大井川を後にしました。