だいちゃん660329 鉄道と旅の記録

日常のちょっとした旅を記録したページです。X - @Daisukeueda6

あの空越しの未来へ。大遠征紀行(2)


皆様こん**は。さて、前回の続きをお送りします。鹿児島で九州新幹線を降りた私は、そのまま予約してあったレンタカーに乗りました。そして高速道路を約40分ひた走り、やってきたのは。。。肥薩線嘉例川駅です。今年で104歳になる九州でも最古の駅の一つです。2006年には有形文化財にも指定されました。ご覧下さい、この趣たっぷりの駅舎。古き良き時代の代弁者ですね。

 

この駅名票は、いったい何年前からここにあるのでしょうか?

ホームに上がってみました。嘉例川駅無人駅ですが、地元の方が整備、清掃などをされているので駅舎はとてもきれいです。対面に待避用のホームがありましたが、現在では使用されていません。観光で来られていたお年寄りが声をかけて下さいました。名古屋から来られた方との事。少しの時間ですが、駅舎の中をいろいろ見て廻りました。その方の駅の様子を語る様が本当に嬉しそうに見えました。そこにあるだけで、この駅は人々を幸せにしてくれるようです。

観光列車『はやとの風』がやってきました。キハ47型が華麗な変身を遂げた車両です。この車両を観光列車に仕立て上げてしまうとは、JR九州のアイデアには脱帽ものです。深い緑を抜けてやってくる黒い特急列車、素晴らしいですね。


この青空をご覧下さい。心の中まで青空で満たしてくれそうです。空気がとてもおいしく感じました。空気にも匂いと味があるということを長らく忘れておりましたが、この路線はそれを思い出させてくれます。本当に爽快です。

 

特急『はやとの風』には客室乗務員さんが乗務されています。停車時間の間、沿線の案内をしたり、記念撮影のシャッターを押したり、記念撮影に加わったりと、大忙しの様子です。笑顔で応対している客室乗務員さんを見ると、この路線と地域とご自分の仕事を本当に楽しんでいるように思えました。
この列車の到着に合わせて、駅舎ではお弁当とご当地さつま芋、人参の天ぷらが売られていました。ごれがまた激ウマです。私が子供の頃、鹿児島出身の母がよく揚げてくれた芋の天ぷらの味。なつかしい家庭の味です。これには、どのような高級料亭の天ぷらもかないません。思わずほろりときました。

はやとの風』は5分少々の停車の後、再び山間に消えて行きました。私も次の目的地に向かいます。続いてやってきたのは、肥薩線真幸駅、『真の幸せ』という名の駅で、非常に縁起が良い駅名です。ここもいい雰囲気ですね。周囲には、度重なる土石流災害のため人家はなく、ひっそりと駅だけが佇んでいます。

 

ホームには『真の幸せの鐘』があります。昔この駅の近くで悲しい出来事がありました。この駅の先にあるトンネルで列車が立ち往生してしまい、あまりの煙の凄まじさに乗客が歩いて脱出しようとしたところ、機関車の煙でそれに気づかなかった運転士が列車を後退させていまい、53名に及ぶ乗客を轢き殺してしまったそうです。悲しい出来事を乗り越えられるよう、そして二度とこのような事故が起きないよう、いつもこの鐘を列車が到着するたびに鉄道員の方が鳴らしていたそうです。いつしか、この鐘の音は真の幸せを願う音となり、この駅に来られる方は皆鳴らして行かれるのだとか。鉄道の歴史は人々の様々な想いで綴られていきます。私も、鐘を鳴らしました。私の想いをこめて。

青空を、白い雲が足早に流れて行きます。きれいですね。うっとりです。

線路脇には、どなたかが植えられたのか、コスモスが咲き誇っていました。秋の匂いですね。ここでは、地元の方が、列車が到着するたびに野菜や果物などを売りに来られています。待ち時間の間、話の輪に加えて頂きました。私のようなよそ者にも声をかけて下さって、感謝します。しばらくすると、市会議員の候補の方が、ちょっと休憩とばかりに立ち寄られました。皆さん本当にいい人たちで、駅がここちよい賑やかさに満たされた時間です。後援会の方が、当選を祈って鐘を鳴らしてゆかれました。誰かのために、一生懸命にお祈りしている姿って美しいですね。大福があまりにもおいしそうだったので購入したら、お茶を入れていただき、手作りの高菜漬けまでいただいてしまいました。人間の心って本当に暖かいものなのですね。人々の想いで心が満たされた、本当に至福の時間でした。

観光列車『しんぺい』が到着です。これもキハ47型を改造したものです。この列車にも客室乗務員さんが乗務されています。

わずかな停車時間の間、みなさん幸せの鐘をついたり、記念撮影をしたり、土産物を買い求めたり、でもどの顔もとても楽しそうです。旅って、心が幸せになるためにするものなのですね。この駅の名のように『真の幸せ』を見つけることができるよう、私も頑張ります。

 

しんぺいを見送った後、車を走らせて私はある場所へ。今回の旅行で是非にも出かけたかった場所の一つです。ご覧下さい『日本の鉄道三大車窓』のひとつ、矢岳トンネル付近から眺めるえびの高原の大俯瞰です。この絶景を解説するのに、言葉は不要ですね。

そして、スイッチバックループ線の駅である大畑駅へ。この駅は、人里離れた山奥にひっそりと佇んでいます。地元の玄関というよりは、矢岳越えに挑む列車がひと休みするのが目的の駅だったそうです。

ここは、先ほどの真幸駅とは違いひっそりとしています。人の気配はありません。

 

この駅に来た目的は、青春18きっぷのポスターに使われた光景を見るためだったのですが、残念ながら辿り着くことはできませんでした。観光列車『いさぶろう』がやってきました。駅舎の近くに立っている丸いレンガ作りの塔は、給水塔跡だそうです。いさぶろうから降りてきた方が私を見て声を上げられました。なんと先ほどの嘉例川駅でお話しさせていただいた方です。思いもよらなかった再会に、顔がほころびました。思わぬ出会いは、心に幸せを届けてくれます。旅って本当に楽しいですね。

 

さあ、いさぶろうがスイッチバックに挑みます。

勇ましい音を立てて、日本で唯一のスイッチバックループ線をキハ47は駆け上がって行きました。

続いて、桜島がよく見える場所まで戻ってきました。日豊本線姶良駅近く。この桜島の美しさをご覧下さい。

ここには鉄橋があります。さっそく特急きりしま(レッドエクスプレス編成)がやってきました。この赤い車体が青空によく映えます。

 

続いて吉都線直通、都城行きの普通列車です。

717系鹿児島行き普通列車です。

今日最後の被写体になったのは、485系(K&H色)のきりしまです。

レンタカーを返却するため、鹿児島中央駅に戻る途中、桜島がとてもきれいに見渡せました。こんなに美しい桜島を見たのは初めてです。

今日一日、いろいろな場所でいろいろな人たちから幸せと元気をもらった一日でした。今日ほど人々の笑顔と心に幸せを感じた日はありません。皆様も機会があれば是非この肥薩線にお越し下さい。私たちがいつのまにか失ったものを思い出させてくれ、空気のおいしさをも気づかせてくれますよ。
さて、レンタカーを返却した私は再び新幹線に乗り熊本へ。今夜は熊本で投宿です。明日はどこへ。。。それは、次回の更新で(笑)。